AM demodulation (SDR using dsPIC)

dsPICによるSDRでSSBやCWはうまく受信できている.これに加えてAMモードも実装したい.AM受信はSSBモードでもできるが,キャリア周波数を完全に合わせないと受信信号のピッチが変わってしまう.会話なら問題も少ないが音楽は不協和音になってしまって聞きづらいので,やはりAMモードが必要だと思う.

AMの復調をするには,下図のように,IchとQchをそれぞれ2乗して加算したあと平方根をとればよい.

AM_demod

理屈は簡単だが,直交ミキサでベースバンドに変換するDC方式だと,キャリア周波数が0Hz(直流)に変換されるので実際にはなかなか難しい.なので多くは,キャリア周波数を0Hzではなく10kHzなどに変換し,それを信号処理してAM復調をする.

ただ今回使用しているdsPICの性能にあまり余裕がないので,上図のとおりDC方式にする.

LPFの出力は次式となる.eq1_2

AMの場合,A + m(t) > 0 なので,

eq3

これの直流分 A/2 をカットすれば復調完了で,式(3)にはキャリア周波数とローカル周波数の差の要素は含まれないので,チューニングのずれで復調される信号ピッチが変わるということはない.

それはいいのだが,実際はミキサの出力にはローカル信号のリークに起因する直流成分が加算される.DBMにしてもリークを0にすることは現実的には困難で,また厄介なことにリークの量は一定ではなく,周波数によって変化する.

リークは直流として生じるので問題なさそうに思えるが,そうではない.
リーク成分を vi, vq として,それらを考慮した場合のLPFの出力を I’ , Q’ とすれば,

eq4_5

このとき,出力は,

eq6

となる.面倒なのでこれ以上の式の展開はしないが,明らかに出力に歪が生じてしまう.チューニングがあっている(ωc=ωm)のときは歪だけだが,チューニングがずれると式(6)の第3,4 項によってビート成分とその高調波も出てくる.

結局,リーク成分vi, vq を除去することが必須であることがわかる.ただ厳密にはそれは不可能なので,条件をつけて譲歩するしかない.

その条件は,「厳密にチューニングがあう(ωc=ωm)ことはない」ということ.

もし ωc=ωm だったら,

eq7_8

となるが,残念なことに第1項と第3項はどちらも直流で分離不可能.

仮に式(7),(8)から直流分を除去すると次式となり,

eq9_10

出力は次式となる.

eq11

元の信号を全波整流したものとなってしまって復調できない
(  m(t) が正負の値をとることに注意).
AMの場合,A+m(t)が常に>0.そうなるようにAが足されていることに大きな意味がある.

 

…ということで,ωc=ωmのときはあきらめて,厳密にそうなることは稀だということに期待する.

ωc≠ωmならば,式(1), (2)をみればわかるように,I, Q は,周波数差|ωc – ωm|に相当する周期をもつ交流となる.リーク込みのLPF出力は式(4), (5) だが,これの時間平均をとれば,I,Qはともに0に収束し最終的に vi, vq のみとなって,リークによる直流分が得られる.得られた値を信号処理時にI, Q信号から引けばよい.

今回,平均処理を2~3秒間の移動平均としてみる.例えば,平均時間2秒なら,1/2=0.5Hz以上周波数がずれていればよい.AMで0.5Hz以内にゼロインするのは難しいと思うので実用的にはOKだろう.たまたま合ってしまう可能性はゼロではないけど,受信信号とローカル信号は全く無相関なのでその状態が長く続くとも思えない…(と希望的観測しておこう).最終的に約2.6秒とした.

ここまで書いて気付いたが,これってカットオフ周波数の非常に低いHPFで直流をカットしているのと同じことだった.ただカットオフ周波数が0.5Hzとかになるので,容量がものすごく大きなCが要る(10000uFとか)し,カットオフ周波数の調整も面倒そうなので,信号処理でやる意味はありそう.

実際の動作の様子はこちら( https://youtu.be/txrccQwB3Pc )

チューニングのずれによるピッチの変化がなくなりAMらしくなった.少しビートが残っている感じがするが,まあいいんじゃないかと思う.むしろチューニングの目安となっていいかもしれない.

ついでにAGC処理も追加しておいた.
ちなみにスピーカのすぐ上に見える回路はアナログでAGCをやろうとした残骸.
信号処理でAGCがうまくいったので使っていない.
また,直流分も通すためにミキサからAD変換までの回路をDC結合に変更した.

回路図 Circuit diagram_rev_B

そろそろ基板におこせる段階かな.
その前にFMもやってみようか…

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